COLUMN
塾の生徒数減少を止める4つの対策と考え方|有馬守の「教室経営の選択肢」#02
2026.08.11
はじめに——「うちだけが減っているのか」と思ったら
塾の生徒数が少しずつ減ってきている。一人また一人と退塾が続き、新規入塾が追いつかない——そんな状況を抱えて、原因と打ち手を探している経営者の方は少なくありません。
この記事では、次の3点をお伝えします。
- 生徒数減少が起きている構造的な背景(市場全体の傾向)
- 経営者が取りうる主な選択肢とそれぞれの特徴
- 各選択肢の一つとして「コース展開・LTV改善」という方向性
まず知っておきたいのは、あなたの塾だけが苦しいわけではないということです。構造的な要因を正確に把握することが、打ち手の選択を間違えないための第一歩です。
課題の背景——少子化と競合激化が同時に押し寄せている
生徒数の減少は、個々の塾の集客力だけでは説明しきれない部分があります。
総務省統計局の発表(2026年4月1日時点)によると、15歳未満の子どもの人口は1,329万人となり、45年連続の減少を記録しました。2025年の出生数は705,809人で、10年連続の過去最少更新となっています(総務省統計局、2026年4月)。教育機関が対象とする子ども人口そのものが、毎年確実に縮んでいる状況です。
一方、競争環境も厳しくなっています。東京商工リサーチの調査では、2025年の学習塾倒産件数は55件(前年比3.7%増)で2006年以降の最多を更新しました(東京商工リサーチ、2026年1月)。倒産した塾の94.5%が負債1億円未満の小規模塾で、少子化による生徒数の伸び悩み・最低賃金上昇による人件費増・物価高による教育費の選別という「三重苦」が重なった結果だとされています。
帝国データバンクの別調査でも、2025年の学習塾倒産は46件で過去最多を更新(帝国データバンク、2026年1月)しており、複数のデータが同じ傾向を裏付けています。
こうした環境の中では、「これまでと同じことを同じようにやっていれば大丈夫」という前提が通用しなくなっています。ただし、だからといってすべての塾が同じ対策を取る必要はありません。自塾の状況に合った打ち手を選ぶことが重要です。
解決の選択肢——4つの方向性
生徒数の減少に対応する打ち手は、大きく4つに分類できます。それぞれに適した場面と注意点があります。
選択肢1:集客・マーケティングの強化
新規入塾者を増やすことに集中する方向性です。チラシ・ポスティング、SNS発信、ウェブ広告、紹介制度の整備などが該当します。
即効性が期待できる反面、広告費がかかり、市場全体が縮んでいる環境ではパイの取り合いになりやすいという側面もあります。「近隣に複数の競合塾がある」「自塾の認知度がそもそも低い」という状況であれば、まず知ってもらうための投資として有効です。
選択肢2:退塾防止・在籍生徒の満足度向上
新規入塾と同じくらい、または場合によってはそれ以上に重要なのが、今いる生徒を長く在籍させることです。退塾理由の多くは「成績が上がらない」「授業についていけなくなった」「費用対効果を感じられなくなった」といった、塾側の提供価値に関わるものです。
学習履歴の見える化、定期的な保護者面談、成果の数値的な共有といった取り組みが有効です。なお、塾シルの調査(中高生保護者249人対象)では、91.2%が塾費用に負担を感じつつも、57.7%は費用を妥当・適正と回答しています(塾シル/インタースペース、2026年7月)。「高い」と感じられているのではなく、「成果が見えない」と感じられているケースが多いことを示唆しています。
選択肢3:料金・コース体系の見直し
月謝の値上げや、コースの整理・再設計によって、生徒数が少なくても収益を維持する方向性です。通い放題コースの新設、単価の高いコースへの誘導、講習費の設計見直しなどが含まれます。
ただし、値上げは既存生徒の退塾リスクを伴います。値上げをするなら、それに見合う価値の提供が前提になります。
選択肢4:提供コースを増やして低学年層・新規ターゲットを取り込む
既存の中学生・高校生向け授業に加えて、小学生向けのコースを新設し、在籍期間を長くする(LTV:顧客生涯価値を上げる)方向性です。
生徒数の減少は「今いる学年の競合に負けている」という問題でもありますが、「そもそも低学年から通ってもらえていない」という導線の問題でもあります。小学校低学年から通い始め、中学・高校まで在籍し続けてもらう導線を設計することで、生徒1人あたりの在籍期間と収益を伸ばすことができます。
選択肢の一つとして——習い事コンテンツの併設でLTVを伸ばす
選択肢4の具体的な方法として、学習系の習い事コンテンツを塾に併設するというアプローチがあります。
たとえばプログラミング教室・マインクラフトコースは、子どもに人気の高いゲームを通じてプログラミングを学ぶ形式で、小学生の新規集客に使いやすいコンテンツです。専門的な指導スキルがなくても動画教材で授業が進行するため、既存の塾スタッフが兼任しやすいのも特徴です。習字やそろばん、速読といったコンテンツも同様に、低学年からの接点づくりに使われています。
名大SKY(株式会社名大SKY)が提供するカルチャーキッズは、こうした複数の習い事コンテンツをパッケージで導入できる会員制教材サービスです。フランチャイズ契約ではなく、加盟金・ロイヤリティ・テリトリー制限がないため、自塾の授業料や教室名称で展開できます。導入している塾では、プログラミング教室を入口に小学生の入塾者が増え、その後の中学部への引き上げにつながっている事例も出ています。
詳細は公式サイトからお問い合わせいただけます。
4つの選択肢をどう組み合わせるか
生徒数減少の原因が「新規入塾が少ない」のか、「退塾が多い」のか、あるいは「在籍期間が短い」のかによって、優先すべき打ち手は変わります。
まず自塾の数字を確認することをお勧めします。直近1年間の入塾者数・退塾者数・平均在籍期間を洗い出すだけで、問題の所在がかなりはっきりします。
新規入塾者が少ない場合は集客強化(選択肢1)と低学年層の取り込み(選択肢4)を組み合わせる。退塾が多い場合は在籍生徒の満足度向上(選択肢2)から手をつける。生徒数の規模感は維持できているが収益が伸びない場合は料金・コース体系の見直し(選択肢3)を優先する——こうした順番で考えると、限られたリソースを効率よく使えます。
少子化が続く以上、「市場全体が拡大して自然と生徒が増える」という状況は今後も期待しにくいです。構造的な変化に対応した経営設計を、今から少しずつ進めておくことが、5年後・10年後の塾の姿に大きく影響します。
まとめ
- 生徒数の減少は、個別塾の問題だけでなく少子化・競合激化という構造的背景がある
- 打ち手は「集客強化」「退塾防止」「料金見直し」「コース展開・LTV向上」の4方向
- どれが優先されるかは自塾の状況によって異なる。まず入塾・退塾・在籍期間の数字を確認する
- 低学年の接点づくりと習い事コンテンツの併設は、長期的なLTV改善に有効な選択肢の一つ
生徒数が減り始めた時期に「何か手を打たなければ」と感じているのは正しい直感です。ただし、焦って広告費をかけるだけでは根本的な解決にならないこともあります。自塾の数字を整理するところから、一歩ずつ進めてみてください。
どこから着手すべきかを相談したい方は、まずお気軽にお問い合わせください。
自塾の状況を踏まえた具体的な提案をいたします。
詳しくは無料相談でご説明いたします
株式会社名大SKY (担当:有馬、平野、勝野)
電話 0561-52-5517
Mail eduplus@meidaisky.jp

有馬 守(ありま まもる)
株式会社名大SKY 常務取締役
大学2年生の頃より、アルバイト講師として名大SKYに入社。大学卒業後はそのまま正社員として勤務し、教室の立ち上げや、中学生向け映像教材を活用した自立型学習塾の運営・指導に携わる。以後25年にわたり、全国の学習塾様に向けて、映像教材「エデュプラス」をはじめとした自社コンテンツの開発・提案・拡販に従事。
自身の指導経験と、全国の塾現場との数多くの接点を武器に、「現場を知る営業マン」として、全国を飛び回っている。

