学習塾の事業承継、3つの選択肢と準備の進め方|有馬守の「教室経営の選択肢」#09

COLUMN

学習塾の事業承継、3つの選択肢と準備の進め方|有馬守の「教室経営の選択肢」#09

2026.08.31

#有馬守の「教室経営の選択肢」

「誰かに継いでほしいが、どこから手をつければいいかわからない」

塾を長年経営してきた方のなかには、引退や世代交代を意識しながらも、具体的な行動に踏み出せずにいるケースが少なくありません。後継者候補が見つからない、外部への売却に抵抗がある、そもそも自塾にどれほどの価値があるのか見当もつかない。こうした悩みを抱えたまま年月だけが過ぎていくことは、珍しくありません。

この記事では、学習塾の事業承継を検討している経営者の方に向けて、(1)なぜいま事業承継の準備が急がれるのか、(2)主な選択肢とそれぞれの特徴、(3)承継の前提として経営価値を高める方法、の3点を順にお伝えします。

学習塾を取り巻く厳しい現実

事業承継を考えるうえで、まず業界全体の状況を正確に把握しておくことが大切です。

2025年の学習塾の倒産件数は、帝国データバンクの調査で46件(出典:帝国データバンク「学習塾の倒産動向調査」2026年1月公表)、東京商工リサーチの集計では55件(出典:東京商工リサーチ 2026年1月公表)に達し、いずれも過去最多を更新しました。倒産した塾の約9割が資本金1,000万円未満の小規模塾です。背景にあるのは、少子化による生徒数の構造的縮小、最低賃金引き上げによる講師人件費の上昇、そして保護者の教育費選別の厳格化という三重苦です。

2026年4月時点の15歳未満人口は1,329万人で45年連続の減少となっており(出典:総務省統計局 2026年4月公表)、この傾向が近い将来に反転する見込みはありません。従来型の指導スタイルだけで生徒数を維持し続けることは、地域を問わず難しくなっています。

こうした状況のなか、事業の出口を考える経営者が増えており、M&Aや事業承継の相談件数も増加傾向にあります。準備なく廃業を迎えるより、塾の歴史・生徒・スタッフを誰かに引き継いでもらうほうが、関係者全員にとって望ましい選択であることは言うまでもありません。しかし、承継に適した状態で塾を引き渡すためには、相応の準備期間が必要です。

塾の事業承継、3つの主な選択肢

学習塾の事業承継には、大きく3つの方向性があります。自塾の規模・財務状況・後継者の有無によって、最適な選択肢は変わります。

1. 親族・内部スタッフへの承継
最もイメージしやすい方法です。家族や古参のスタッフが経営を引き継ぐ形で、塾の文化や生徒との関係を最も維持しやすいという利点があります。一方で、後継者候補が経営経験を積む時間が必要であり、また承継後の経営の安定化をどう支えるかという課題も伴います。後継者が決まっていても、財務・税務・法務の整理を専門家(税理士・中小企業診断士など)に依頼しながら計画的に進めることが重要です。

2. 他の塾・教育事業者へのM&A・事業譲渡
近隣や同業の塾へ事業を売却・譲渡するケースです。買い手にとっては既存の生徒・スタッフ・教室ロケーションを一括で取得できるため、交渉がまとまりやすい形態でもあります。譲渡対価を受け取れることで、経営者の引退後の生活設計が立てやすくなるメリットもあります。塾業界に特化したM&A仲介業者や、士業ネットワーク経由で相手先を探すことが一般的です。譲渡価格は「年間営業利益の数倍」を目安として算定されることが多く、安定した収益が続いているほど評価が高くなります。

3. フランチャイズ本部や大手塾グループへの統合
フランチャイズ本部や大手塾グループの傘下に入る形です。ブランド力やカリキュラム支援を得られる代わりに、自塾の独自性はある程度制限されます。FCネットワークに加盟している塾では、本部がM&Aや後継者マッチングの窓口を持っているケースもあります。独立型の塾でも、大手グループが地域内の小規模塾を取り込む形の統合に応じる事例は増えています。

また、上記いずれの選択肢においても、承継前に「廃業」を選ぶケースがあります。廃業は最もシンプルな出口ですが、在籍生徒や雇用スタッフへの影響が大きく、地域への貢献という観点からも、まずは承継の可能性を探ることが望まれます。

承継に向けて、いまできる経営価値の高め方

どの選択肢を選ぶにしても、「承継されやすい塾」にしておくことが大前提です。承継価値を左右するのは主に次の3点です。

  • 安定した収益と生徒在籍数
  • 特定の講師個人に依存しない運営体制
  • 複数の収益源(コース・教室)を持つ経営構造

逆に言えば、「塾長一人と数名のアルバイト講師だけで回している」「生徒が特定学年・特定科目に偏っている」「収益が年度によって大きくブレる」といった状態は、承継交渉において評価が下がりやすいポイントです。

特に「講師個人依存」の問題は、昨今の採用難も相まって、多くの中小塾が抱える共通課題です。映像授業などICTを活用した運営体制に移行することで、教えるスキルを特定の人物に頼らない構造を作っておくと、承継後の経営安定にもつながります。

選択肢の一つ:コース多角化で塾の魅力度を高める

塾の収益基盤を厚くし、承継先への訴求力を上げる手段として、新しいコースの追加を検討している経営者の方もいらっしゃいます。

名大SKYが提供する「カルチャーキッズ」は、学習塾が既存のリソース(教室・時間帯・スタッフ)を活かしながら、プログラミング・そろばん・習字など複数のコンテンツを導入できる会員制教材パッケージです。フランチャイズ契約ではなく、加盟金・ロイヤリティ・テリトリー制限なしという形態で、コース数が増えても月会費は定額(1塾あたり月1万円・税別)です。専門知識がない講師でも動画研修だけで指導を始められるため、塾長の負担が増えにくい点が、承継前の多角化施策として活用しやすい特徴です。

詳しくは資料請求でご確認いただけます。承継時期を見据えた収益改善の相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

まとめ:「準備を始める」こと自体が最初の一歩

学習塾の事業承継は、思い立ってすぐに動けるものではありません。後継者の育成、財務の整理、運営体制の見直しには、最低でも数年単位の時間が必要です。業界全体として倒産・廃業が増えている今だからこそ、「まだ先のこと」と先送りせずに情報収集を始めることが、選択肢を広げることにつながります。

まずは税理士や中小企業診断士などの専門家に相談し、自塾の現状評価(簡易的な企業価値算定)を受けることをお勧めします。その結果をもとに、親族承継・M&A・グループ統合のいずれが現実的かを判断できるようになります。自塾が積み上げてきた信頼と生徒を、次の世代につなぐための準備を、今日から始めてみてください。

どこから着手すべきかを相談したい方は、まずお気軽にお問い合わせください。
自塾の状況を踏まえた具体的な提案をいたします。

詳しくは無料相談でご説明いたします

株式会社名大SKY (担当:有馬、平野、勝野)
電話  0561-52-5517
Mail  eduplus@meidaisky.jp

有馬 守(ありま まもる)
有馬 守(ありま まもる)

株式会社名大SKY 常務取締役

大学2年生の頃より、アルバイト講師として名大SKYに入社。大学卒業後はそのまま正社員として勤務し、教室の立ち上げや、中学生向け映像教材を活用した自立型学習塾の運営・指導に携わる。以後25年にわたり、全国の学習塾様に向けて、映像教材「エデュプラス」をはじめとした自社コンテンツの開発・提案・拡販に従事。

自身の指導経験と、全国の塾現場との数多くの接点を武器に、「現場を知る営業マン」として、全国を飛び回っている。

コラム一覧

販売コンテンツ・エデュプラス
page top