COLUMN
塾のDX化で解決できる3つの課題と進め方|有馬守の「教室経営の選択肢」#10
2026.09.02
はじめに
「紙の出席簿から卒業したい」「生徒ごとの学習進捗を講師が手入力で管理している」「授業の質が講師によってバラバラで困っている」——こうした悩みを抱える塾経営者の方が、「塾 DX化」というキーワードで情報を探されているのではないでしょうか。
この記事では、塾のDX化が今なぜ必要なのか、具体的にどのような手段があるのか、そして導入する際に押さえておくべきポイントについて解説します。
課題の背景:塾経営を取り巻く「三重苦」
塾業界は現在、DX化を急がなければならない理由が複数重なっています。
2025年の学習塾倒産件数は46件(帝国データバンク、2026年1月4日発表)と過去最多を更新しました。同時期に東京商工リサーチも55件という数字を出しており、複数の調査機関が倒産増加を裏付けています。倒産した塾の約9割が資本金1,000万円未満の小規模塾で、その背景にあるのは少子化・人件費高騰・教育費の選別という三重苦です。
人件費の面では、2026年度の最低賃金改定審議が進んでおり、2025年度の全国加重平均1,121円からさらに引き上げられる見通しです(厚生労働省中央最低賃金審議会、2026年7月)。塾講師の平均時給は求人ボックスの2026年5月集計で1,342円で、最低賃金との差がわずか220円程度まで縮小しています。採用競争で他業種に劣勢に立たされている現状も、DX化で講師依存度を下げるニーズを後押ししています。
一方で需要の側も変化しています。NEXER GroupとKATEKYO学院 宮城が2026年7月に発表した保護者調査では、集団指導塾を利用している保護者のうち56.7%が個別指導の方が学習効果や満足度が高いと感じていると回答しました。生徒一人ひとりへの対応を強化したいという経営ニーズは明らかですが、そのために講師を増やすことは人件費の観点から現実的ではなくなりつつあります。
こうした状況の中で、DX化による業務効率化と指導の個別最適化を両立させる戦略が、塾の生存条件として浮かび上がっています。
解決の選択肢:DX化と他の打ち手を整理する
「DX化」と一口に言っても、何から手をつければよいかは塾の規模・課題によって異なります。また、DXだけが答えとは限りません。まずは選択肢を広く整理してみます。
選択肢1:業務管理のデジタル化
出席管理・月謝管理・保護者連絡をデジタルツールに移行する取り組みです。塾専用の管理システムや、汎用的なスプレッドシートの活用から始められます。導入コストが比較的低く、事務負担の軽減効果が早期に出やすい点がメリットです。ただし、指導の質そのものには直結しないため、「業務効率化」と「指導力強化」を分けて考える必要があります。
選択肢2:ICT教材・映像授業の導入
授業の一部または全部を映像教材に置き換えることで、講師1人あたりの指導可能人数を増やす手法です。生徒が自分のペースで学習できるため、固定時間割に縛られない柔軟な通塾スタイルを提供できます。また、教材そのものが均一な品質で授業を提供するため、講師による指導の差をならす効果があります。
導入にあたっては、「映像を見ているだけで終わってしまう」という失敗パターンがあることも知っておく必要があります。インプット(映像視聴)とアウトプット(問題演習)の役割分担を明確にし、テスト2週間前には映像視聴を完了させて演習に切り替えるというカリキュラム設計が、成果につながる運用の核心です。
選択肢3:保護者向けの学習見える化・情報発信強化
生徒の学習履歴をデジタルで蓄積し、保護者に定期的に共有する仕組みを整えることで、塾への信頼度と継続率を高める手法です。塾費用に負担を感じながらも57.7%の保護者が「妥当・適正」と回答した調査(塾シル、2026年7月)が示すように、成果が見える化されていれば費用への納得度は上がります。
選択肢4:講師採用戦略の見直し
DX化と並行して、採用自体の競争力を高める方法もあります。シフトの融通を重視する大学生が4割を超える(マイナビ「大学生アルバイト調査2026」)中で、講師側が働きやすいシフト設計に変えることで採用力を上げるアプローチです。ただし、採用で解決しようとする方向性は、根本的な人件費上昇という構造問題を先送りにするリスクも伴います。
選択肢5:料金改定・コース設計の見直し
客単価を上げる方向での経営強化も重要な選択肢です。プログラミングや習い事コンテンツを追加することで、既存の生徒に複数コースを提供し月謝単価を上げる設計は、少子化によるパイ縮小への直接的な対応になります。
選択肢の一つとしてのEduPlus+
ICT教材・映像授業の導入を検討する際、選択肢として名大SKYの「EduPlus+(エデュプラス)」があります。
EduPlus+は小中高向けの教科書準拠型映像授業教材で、発売開始から25年以上の運用実績を持ち(2026年時点)、2,500塾・6,000教室以上に導入されています。
特徴的なのは「教科書のページ単位で映像が対応している」という設計です。生徒が「今日学校で◯ページをやった」と言えば、塾側はすぐにその範囲の映像を指示できます。生徒ごとに好きな時間に受講できるため、部活動の予定や家庭の都合に合わせて柔軟に通塾スケジュールを組めます。
また、スケジュール管理機能によって「いつまでにどの単元を終えるか」を自動で計画化でき、保護者には専用のID・パスワードを発行して学習履歴をリアルタイムで確認してもらえます。前述の「成果の見える化」と「保護者との信頼構築」を同時に実現できる仕組みです。
運営面では、講師1人で10〜15人の生徒を同時に指導できるモデルを構築した塾の事例があります。映像がティーチング(知識の解説)を担い、講師はコーチング(進捗確認・質問対応・モチベーション管理)に集中するという役割分担が、人件費を抑えながら指導の質を維持するポイントです。
詳しくは下記よりお問い合わせください。
塾のDX化を進める際の注意点
DX化を進める上で、現場でよく起きる失敗パターンをまとめます。
導入目的が曖昧なまま始めると、ツールが定着せずに終わることが多くあります。「何のために」「どの課題を解決するために」導入するかを、スタッフ全員で共有してから着手することが重要です。
また、DX化は一度導入して終わりではありません。月次で学習履歴データを振り返る、保護者面談に活用するといった「運用の仕組み」を設計しないと、システムの導入コストが無駄になります。
さらに、保護者の中にはICT学習に対する不安感を持つ方もいます。「なぜ映像授業なのか」「紙のテキストとどう違うのか」を丁寧に説明する機会を設けることで、導入後の不満を減らせます。
まとめ
塾のDX化が求められる背景には、少子化・人件費高騰・採用難という複合的な課題があります。DX化はその解決策の一つですが、業務管理のデジタル化・映像授業の導入・保護者向けの見える化・採用戦略の見直し・料金設計の見直しといった複数の選択肢を組み合わせることが、実際の経営改善につながります。
いずれの手段を選ぶにしても、「何のために導入するか」という目的の明確化と、導入後の運用設計が成否を分けます。塾のDX化で具体的に何ができるかを確認したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
どこから着手すべきかを相談したい方は、まずお気軽にお問い合わせください。
自塾の状況を踏まえた具体的な提案をいたします。
詳しくは無料相談でご説明いたします
株式会社名大SKY (担当:有馬、平野、勝野)
電話 0561-52-5517
Mail eduplus@meidaisky.jp

有馬 守(ありま まもる)
株式会社名大SKY 常務取締役
大学2年生の頃より、アルバイト講師として名大SKYに入社。大学卒業後はそのまま正社員として勤務し、教室の立ち上げや、中学生向け映像教材を活用した自立型学習塾の運営・指導に携わる。以後25年にわたり、全国の学習塾様に向けて、映像教材「エデュプラス」をはじめとした自社コンテンツの開発・提案・拡販に従事。
自身の指導経験と、全国の塾現場との数多くの接点を武器に、「現場を知る営業マン」として、全国を飛び回っている。

