COLUMN
総合型地域スポーツクラブの立ち上げ方と3つの収益モデル|有馬守の「教室経営の選択肢」#14
2026.09.14
はじめに——なぜ今、総合型地域スポーツクラブなのか
「部活動の地域移行が進む中で、受け皿になれないかと考えている」「スポーツ事業だけでは収益が安定しない。コンテンツを増やして経営基盤を強くしたい」。そのような課題意識から、総合型地域スポーツクラブの立ち上げを検討されている経営者の方は増えています。
この記事では、総合型地域スポーツクラブを立ち上げる際に押さえておくべき制度的な背景、具体的な運営モデルの選択肢、そして収益を安定させるための設計の考え方を整理します。
この記事でわかること:
– 部活動の地域展開制度の現状と、クラブが果たせる役割
– 総合型地域スポーツクラブの立ち上げにあたって選べる3つの収益モデル
– 自治体認定を取得するために準備すべき事項
課題の背景——部活動の「地域展開」が本格始動している
2025年12月、スポーツ庁は「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」を策定しました。このガイドラインを受け、2026年度から2031年度までの6年間が「改革実行期間」と位置づけられています(スポーツ庁、2025年12月公表)。
さらに2026年4月には、制度の名称も「地域移行」から「地域展開」へと変更されました。自治体に対しては、民間企業等との連携を進めながら、前期(2026〜2028年度)のうちに未着手の自治体も休日の地域展開に着手することが求められています(スポーツ庁、2026年4月)。
この流れを象徴するのが、神戸市の取り組みです。神戸市は2026年8月末で市立中学校の部活動を平日・休日ともに終了し、同年9月から地域クラブ活動「KOBE◆KATSU(コベカツ)」をスタートする方針を発表しました。政令市として全国初の完全移行であり、他の自治体への波及力も大きいとみられています(大阪経済大学・リセマム、2026年6月)。
加えて、2026年には市区町村が地域クラブを審査・認定する制度も創設されています。認定を受けたクラブは公的な受け皿として位置づけられ、自治体との連携窓口が明確になります。この認定制度こそ、スポーツクラブや既存の民間団体が事業として参入するチャンスを明確に示すものです。
一方で、単にスポーツ種目を提供するだけでは、運営の持続可能性に課題が残ります。活動曜日・時間が競技ごとにバラバラになる中で、会員数と収益を安定させるには、スポーツ以外のコンテンツとどう組み合わせるかが重要な論点になります。
解決の選択肢——3つの収益モデルを検討する
総合型地域スポーツクラブを立ち上げる際、収益構造の設計は早期に検討すべき課題です。代表的な3つのモデルを整理します。
選択肢1: スポーツ種目の多様化による会員数最大化モデル
最もシンプルなアプローチは、複数のスポーツ種目を束ねて総合型クラブとして運営し、会員規模を拡大する方向性です。サッカー・バスケット・テニスなど複数の種目を一つのクラブとして運営することで、保護者が「ここに入会すれば複数の選択肢がある」と感じるメリットが生まれます。
ただし、指導者の確保・施設の確保・種目ごとの練習時間調整など、運営コストは比例して増加します。会員数が多くても、1人あたりの粗利が薄ければ財務的に苦しくなるため、会員単価と運営コストのバランスを事前に試算しておくことが重要です。
選択肢2: 自治体・学校との連携契約を軸にした公共受け皿モデル
市区町村の認定制度を活用し、学校の施設を利用しながら部活動の受け皿として自治体と連携協定を結ぶモデルです。公的な位置づけが得られるため集客面での信頼性が高く、教育バウチャーや補助金の対象になる可能性もあります。
2026年には、フューチャーリンクネットワークと伊丹市が共同開発した教育バウチャーシステム「スタエク」のソースコードが自治体向けに無償公開されました(ICT教育ニュース、2026年7月公表)。こうした仕組みを通じて塾代助成や部活動支援の補助金が民間事業者へ流れてくる環境が整いつつあり、自治体連携を軸に据えた経営設計の現実味が増しています。
一方で、行政との契約は単価交渉・事務負担・制度変更リスクが伴います。行政依存度が高すぎると、制度変更時に経営が直撃を受けるリスクもあるため、自主事業との両輪で設計するのが安全です。
選択肢3: スポーツ×学習コンテンツの複合モデル
近年、スポーツクラブが学習系の習い事コンテンツを併設し、「通い続けられる場所」として会員の定着率と単価を高める動きが広がっています。部活動の地域移行によって子どもが地域クラブに集まるようになれば、その保護者から「勉強との両立」ニーズが必ず生まれます。
スポーツ指導の合間の時間帯に、プログラミング教室・速読・書道などの習い事コンテンツを提供することで、月謝収入の上乗せが可能になります。特に夕方4〜7時の時間帯は、スポーツ練習の前後に習い事を設定しやすく、保護者にとっても「一箇所で完結する」利便性が高い時間帯です。
また、子どもの年齢が上がるにつれてスポーツから離脱するケースを、学習系コンテンツで補う設計にすれば、長期的な会員維持にもつながります。
自治体認定を受けるために準備すること
自治体による認定制度を活用するには、一般的に以下の要件が求められます(自治体ごとに基準は異なるため、担当部署への確認が前提です)。
- 法人格の取得またはNPO法人としての登録
- 複数種目または複数世代を対象とした活動実績・計画書
- 指導者の資格・経歴の証明(種目ごとの公認資格等)
- 施設利用計画と安全管理体制の提示
- 会計の透明性を担保する運営規則・報告体制
認定を目指す場合、まず地域の市区町村教育委員会やスポーツ推進担当課に相談し、自治体が求める要件リストを入手することが最初のステップです。神戸市のような先行事例については、スポーツ庁の「改革実行期間」関連資料や、日本スポーツ協会の総合型地域スポーツクラブ育成マニュアルが参考になります。
収益を安定させるための設計3原則
立ち上げ直後に陥りやすい失敗パターンを避けるために、以下の3点を設計段階から意識することをお勧めします。
まず、会員の「入口」と「出口」を設計することです。未就学児・小学生・中学生・高校生・一般成人と、対象年齢ごとに異なるコンテンツを用意することで、一つの会員が長期間在籍できる導線を作れます。子どもが小学生のうちに入会し、中学・高校まで在籍し続ける設計は、LTV(顧客生涯価値)を大幅に高めます。
次に、単価向上の仕組みを最初から組み込むことです。スポーツ月謝だけでは単価が頭打ちになりがちです。習い事コンテンツや学習支援サービスを追加することで、1人あたりの月謝収入を引き上げる設計が、少子化時代の収益安定に直結します。
最後に、指導者依存度を下げた運営体制を作ることです。特定の指導者がいないと運営が成り立たない体制は、人材流出リスクが高くなります。映像授業や動画教材を活用したコンテンツを組み込むことで、指導者の専門スキルに依存しない時間帯・コースを一部確保しておくと、採用リスクの軽減になります。
選択肢の一つ: 習い事コンテンツを会員制パッケージで導入する
スポーツ×習い事の複合モデルを検討する際、「どのコンテンツを、どうやって立ち上げるか」が実務上の壁になります。一から教材を開発したり、専門講師を採用したりするコストは、立ち上げ直後のクラブには大きな負担です。
株式会社名大SKYが提供する「カルチャーキッズ」は、プログラミング教室・速読・書道・将棋・そろばんなど複数の習い事コンテンツを一括で導入できる会員制教材パッケージです。加盟金・ロイヤリティ・テリトリー制限がなく、教室名称や授業料はクラブ側が自由に設定できます(料金体系は2026年度時点)。動画・パターン学習中心のカリキュラムのため、特定の専門資格を持たない講師でも運営でき、夕方の短い時間帯に小さく始められる設計になっています。
「すでにスポーツクラブを運営しているが、学習系コンテンツを試してみたい」という段階の検討であれば、選択肢の一つとして情報収集してみることをお勧めします。
詳細は以下よりお問い合わせください。
まとめ
総合型地域スポーツクラブの立ち上げは、部活動の地域展開という制度的な追い風がある今、経営判断のタイミングとして現実的な選択肢になってきています。
ただし、スポーツ種目だけで収益を安定させることの難しさは、既存のスポーツクラブ経営者の多くが実感しているところです。立ち上げの段階から、会員単価・長期定着・指導者依存リスクを念頭に置いた複合的な設計を検討することが、持続可能なクラブ運営への近道になるでしょう。
自治体認定の要件や、他クラブの立ち上げ事例についての情報収集は、早めに始めるほど選択肢が広がります。まずは地域の担当部署への相談と、収益モデルの試算から着手されることをお勧めします。
どこから着手すべきかを相談したい方は、まずお気軽にお問い合わせください。
自塾の状況を踏まえた具体的な提案をいたします。
詳しくは無料相談でご説明いたします
株式会社名大SKY (担当:有馬、平野、勝野)
電話 0561-52-5517
Mail eduplus@meidaisky.jp

有馬 守(ありま まもる)
株式会社名大SKY 常務取締役
大学2年生の頃より、アルバイト講師として名大SKYに入社。大学卒業後はそのまま正社員として勤務し、教室の立ち上げや、中学生向け映像教材を活用した自立型学習塾の運営・指導に携わる。以後25年にわたり、全国の学習塾様に向けて、映像教材「エデュプラス」をはじめとした自社コンテンツの開発・提案・拡販に従事。
自身の指導経験と、全国の塾現場との数多くの接点を武器に、「現場を知る営業マン」として、全国を飛び回っている。

